対象読者:マーケティングを初めて学ぶ人。高校生でも数字の比較条件を追えるよう、調査した国・時期・対象を本文で分けて示します。

「AI検索でクリックが58%減った」「日本企業の生成AI利用率は86.4%」「マーケティング予算は売上の9%」。
マーケティングの記事では、こうした数字をよく見かけます。では、その数字を自社の提案書や施策判断に、そのまま使ってよいのでしょうか。
結論から言うと、数字だけでは判断できません。誰を対象に、いつ、どのように調べた数字かまで見て、初めて使い道が決まります。
日米英の公開情報を44件たどると、同じように見える数字が12か所で食い違っていました。間違い探しというより、調査の条件が違っていたのです。
この記事では、特に判断を誤りやすい4つの例を紹介します。読み終わるころには、手元の数字を「そのまま使える」「条件を書き添える」「まだ使わない」に分けられるようになります。
まず押さえたい、2026年の4つの変化
数字の違いを見る前に、複数の情報源で確認できた変化を押さえておきます。
日本のネット広告費が、初めて過半数を超えた
電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で、4年連続の過去最高でした。
そのうちインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)。総広告費に占める構成比は**50.2%**で、推定を開始して以来初めて過半数を超えました。
金額の表記にも注意が必要です。海外の要約記事には「8兆6,230億円」と書かれたものがありましたが、電通の発表は「8兆623億円」です。数字を引用するときは、要約ではなく一次情報で桁まで確認する。 これが最初のチェックになります。
媒体別の内訳も、印象と少し違います。
| 媒体 | 2025年 | 前年比 |
|---|---|---|
| インターネット | 4兆459億円 | 110.8% |
| テレビメディア | 1兆7,556億円 | 99.7% |
| プロモーションメディア | 1兆7,184億円 | 102.0% |
| 新聞 | 3,136億円 | 91.8% |
| ラジオ | 1,153億円 | 99.2% |
| 雑誌 | 1,135億円 | 96.3% |
テレビは99.7%で、ほぼ横ばいです。単純に「マス媒体からネットへ一斉に移った」とは言えません。 新聞・雑誌の落ち込みが大きい一方、テレビとプロモーションメディアは水準を保っています。
内訳をもう一段見ると、伸びの中身が分かります。制作費とEC広告を除くインターネット広告媒体費は3兆3,093億円でした。そのうちビデオ(動画)広告は1兆275億円で、推定開始以来初めて1兆円を超えています。ソーシャル広告は1兆3,067億円で、構成比は39.5%です。
「ネット広告が伸びた」だけでは、変化の中身が見えません。伸びを引っ張ったのは、動画とソーシャルです。
AI検索への特別な小技を、Googleは求めていない
2026年5月15日、Googleは生成AI機能向けの最適化ガイドを公開しました。AI検索だけのために、コンテンツを別の形式へ作り替える必要はない、と説明しています。
From Google Search's perspective, optimizing for generative AI search is optimizing for the search experience, and thus still SEO.
(Google検索の観点では、生成AI検索への最適化も検索体験への最適化であり、従来のSEOの延長にある)
具体的には、次のような施策は必須ではありません。
- llms.txt などのAI専用ファイル。 「Google Search itself doesn't use them」と書かれています
- コンテンツの細切れ化(チャンク化)。 AIが理解しやすいように小さく分割する必要はない
- 生成AI向けの書き直し。 AIは同義語や言い換えを理解するため、特別な書き方は不要
- 構造化データ。 生成AI検索の必須要件ではない(リッチリザルトには引き続き有効です)
別ページの「AI Features and Your Website」(最終更新2025年12月10日)にも、「There are no additional requirements to appear in AI Overviews or AI Mode」(AI OverviewsやAI Modeに表示されるための追加要件はない)と明記されています。
ただし「何もしなくてよい」という意味ではありません。検索エンジンに正しく登録され、検索結果に表示でき、他から借りただけではない内容になっていることは、これまでどおり大切です。
英国でも広告市場は伸びる見通しだが、これは予測
日本だけの話ではありません。Advertising AssociationとWARCの調査(2026年1月29日更新)によると、英国の広告費は2025年通年で467億ポンド、2026年は初めて500億ポンドを超える見通しです。2026年第1四半期は前年比9.3%増の117億ポンドでした。
日本と英国で同じ方向の変化が見えます。ただし、英国の500億ポンド超は予測です。実績と予測を同じように扱わないことも、数字を読むときの基本です。
BtoBでは、AIの導入と成果がまだ同じ速度ではない
Content Marketing Instituteが2025年6月24日〜8月14日にBtoBマーケター1,015名(主に北米、Storyblokがスポンサー)へ行った調査では、**95%**がAI搭載アプリを使っています。
一方で、**AIによってコンテンツの成果が改善したと答えたのは39%**でした。34%は「変化なし」です。生産性の改善は87%だったため、効率化の実感に比べると、成果改善の実感は少ないという自己申告の結果です。
2026年の投資優先度では、AI搭載ツールが1位(45%)、人材(給与・研修)が最下位(9%)でした。
日本のBtoBでも、個人利用と組織への定着には差があります。 才流の調査では、個人で生成AIを日常的に使う人は28.8%、ときどき使う人は41.7%でした。
一方、従業員の8割以上が日常的に使っている企業は12.2%です。個人には広がっていても、組織の仕組みになるまでには距離があります。
米国の「The CMO Survey」(2026年1月7〜29日実施・マーケティング責任者308名・97%がVP以上)でも、研修費はマーケティング支出の3.8%、予算成長率は1.7%で近年最低、短期成果を優先する回答が70%超です。
数字が食い違うのは、調査の条件が違うから
ここからは、数字を見たときに立ち止まりたい4つの例です。
① AI検索でクリックはどれだけ減ったのか
この件だけで、性質の違う数字が4つ出てきました。
| 出典 | 数字 | 何を測ったか |
|---|---|---|
| Ahrefs(2025年4月17日) | 34.5%減 | AI Overviewsがある情報系KWの上位ページの平均CTRを、無いKWと比較(30万KW/2024年3月 vs 2025年3月) |
| Ahrefs(2026年2月公表・2025年12月データ) | 58%減 | 検索1位のCTRを、AI Overviewsが無ければ到達していたはずの予測値と比較 |
| Pew Research Center(2025年7月22日) | 15% → 8% | AI要約が出た検索と出なかった検索で、通常リンクのクリック率を比較(900名・68,879検索・2025年3月) |
| SparkToro(2026年6月報道・2026年1〜4月データ) | ゼロクリック68.01% | クリックが1回も起きなかった検索の割合(2024年は60.45%) |
どれも同じ指標ではありません。 34.5%と58%はCTRの変化率、Pewは通常リンクのクリック率、SparkToroは「クリックが起きなかった検索の割合」です。これらを並べて「最大68%減」とまとめると、別のものを足し算することになります。
ただし、よく引用される「58%」には、見落とされやすい前提があります。
同じ調査で、AI Overviewsが出ないキーワードのCTRも 0.076 → 0.039 へ落ちています。
AI Overviewsが出るキーワードは 0.073 → 0.016。「58%」は、この 0.016 を、AI Overviewsが無ければ到達していたであろう予測値 0.037 と比べた差です。2023年比の実測ではありません。
つまり、同じ期間に、AI Overviewsが出ないキーワードでもCTRは約半分になっています。 この調査だけで原因は断定できませんが、AI Overviewsの有無だけでは説明しきれない変化も起きている、と読むことはできます。
ここを取り違えると、打ち手が変わります。「AI Overviewsさえ何とかすれば元に戻る」と考えると、AI Overviews以外の要因を見落とします。
さらに、この「58%」はグローバル値です。
同じAhrefsの調査では、日本の数字は2025年12月時点で37.8%でした。半年後の2026年6月には62.7%(同時点の米国は68.8%)。2026年6月の日本は、予測CTR24.1%に対して実測9.0%です。
| 時点 | 日本 | グローバル/米国 |
|---|---|---|
| 2025年12月 | 37.8% 減 | 58.0% 減(グローバル) |
| 2026年6月 | 62.7% 減 | 68.8% 減(米国) |
つまり、同じ調査の中にも、地域と時点によって少なくとも4つの数字があります。日本のサイトでは、海外の数字をそのまま引用せず、日本の数字と調査時点を併記する必要があります。
なお、この2026年公表分については、HTTP 403のためAhrefsの原文に到達できていません。上の内訳は、原典を読んで再検証した第三者の記事と、日本の報道2件に基づくものです。この節の数値は「そう報告されている」範囲にとどめます。
② 日本の生成AI利用率は何%なのか
個人の利用率については、条件の異なる数字が3つあります。
| 出典 | 数字 | 設問 |
|---|---|---|
| 総務省 令和8年版 情報通信白書 | 58.8% | 個人の生成AI利用経験率 |
| ICT総研(2026年2月・n=2,024) | 54.7% | 直近1年以内の利用経験 |
| 日本リサーチセンター(2026年3月・20〜69歳) | 48.5%/42.9% | 経験あり/現在利用している |
「経験がある」「直近1年に使った」「いま使っている」は、別の質問です。日本の生成AI利用率は何%か、と1つの数字で答える前に、質問文を確認する必要があります。
企業の利用率は、さらに差が大きくなります。
| 出典 | 数字 | 標本 |
|---|---|---|
| 総務省 令和8年版 情報通信白書 | 86.4% | 有効回答515件(当該設問n=477)。「何らかの業務で生成AIを利用」 |
| 帝国データバンク(2026年3月) | 34.5% | 全国23,349社へ調査・有効回答10,312社・回答率44.2%。「業務で活用している」 |
2.5倍の差があります。 総務省の概要PDFによると、対象は「従業員10名以上で、2025年までにデジタル化を始めた企業」に勤める管理職以上でした。
アンケート調査会社が保有するモニターのうち、対象各国に在住する者であって、従業員10名以上、かつ、2025年までにデジタル化の取組を開始した企業に勤めており、企業全体の戦略等を理解する管理職以上の役職の中から抽出
すでにデジタル化に着手している企業に、対象が絞られています。 その中で86.4%が生成AIを使っている、という数字です。帝国データバンクは業種横断で1万社を超える企業を対象にしています。
したがって、「日本企業の86.4%が生成AIを使っている」とだけ引用すると、調査対象の条件が抜け落ちます。
さらに、帝国データバンクの調査には**「活用している企業のうち、効果を実感しているのは86.7%」**という別の数字があります。総務省の86.4%と小数第1位まで近いため、片方を見て、もう片方の話だと思い込むと、まったく違う結論になります。
なお、HubSpotの2026年レポートでも「86.4%のマーケティングチームがAIを利用」という数字が紹介されています。ただし、今回はレポート本編を確認できていないため、根拠としては使いません。世界のマーケターと日本の企業全般という、まったく違う母集団に、同じ数値が並ぶことがある点には注意が必要です。
一方、確認できた調査からは、次の傾向が読み取れます。
- ICT総研では、サービス別の利用率はChatGPT 36.2%、Gemini 25.0%、Microsoft Copilot 13.3%、Claude 4.3%、Perplexity 4.0%
- 日本リサーチセンターでは、20代の利用経験率は69%。60代では、63%が「使ったことがない」と回答
- 利用目的の最多は「情報収集・調査」で57.0%
年代による差も大きい結果です。「自社の顧客は生成AIで調べているか」を見るなら、全国平均だけでなく、自社の顧客層を確かめる必要があります。
BtoBの購買行動については、HubSpot Japanが次の調査を報告しています。対象は、従業員50名以上でBtoB購買に関与した1,573名です。
そのうち**41.6%が「生成AI・AI検索が購買判断に与える影響が増えた」**と回答しました。直近2〜3年で新たに始めた情報収集行動の1位は「生成AI・AI検索の利用」で、33.5%でした。
ただし同じ調査では、**AIが生成した情報の信頼度は、情報源の中で最下位の37.8%**でした。AI検索は使われ始めている一方で、情報源としての信頼はまだ高くない、という結果です。
③ マーケティング予算の「9%」だけでは、実態が分からない
| 出典 | 数字 | 母集団 |
|---|---|---|
| The CMO Survey(2026年1月) | 売上の 9.0% | 米国の営利企業308社・97%がVP以上 |
| Gartner CMO Spend Survey(2026年) | 売上の 7.8% | 北米・英国・欧州401名、大半が売上10億ドル超 |
この2つの数字だけを並べても、予算が増えた・減ったとは言えません。片方は米国のみ、もう片方は欧米で、しかも売上10億ドル超の大企業が中心です。調査対象が違います。
ここで平均だけを見ると、典型的な企業像を見失います。原典PDFでは、平均8.96%に対して**中央値は5%**でした。
| The CMO Survey の記載 | 値 |
|---|---|
| 平均 | 8.96% |
| 中央値 | 5% |
| 標準偏差 | 11.45 |
| 95%信頼区間 | 7.15〜10.76 |
| 最大値 | 42.99% |
| 有効回答 | 154件(308名中・回答率50.0%) |
よく引用される9%は平均で、中央値は5%です。 最大42.99%の回答が含まれるため、平均は一部の大きな値の影響を受けます。Gartnerとの1.2ポイント差を見る前に、平均と中央値の違いを確認する必要があります。
なお、この設問の有効回答は308名中154名です。
成長率の数字も、平均だけでは読み切れません。「予算成長率1.7%」は、原典では 平均1.74%/中央値0/標準偏差15.40/95%信頼区間 −0.62〜4.11(n=163)でした。誤差の幅にゼロが含まれるため、この調査だけから増加とは言い切れません。
(Gartnerの数値のほうは、公式リリースを読めていません。報道経由です。)
では日本はどうか。 今回確認した範囲では、マーケティング予算の対売上比を同じ条件で示す日本の調査は見つかりませんでした。ただ、増減の方向を示す調査はあります。
- Macbee Planetの調査(2025年12月・マーケ担当1,086名)では、2026年に予算が「増える」のはBtoCが61.3%、BtoBは約5割。生成AIツールへの投資増はBtoC35.8%・BtoB25.7%
- ProFutureの調査(2026年2月・BtoBマーケ従事者103名)では、8割超が維持〜増額。ただし決裁者に「十分アプローチできている」のは9.7%
米国では短期成果を優先する回答が多い一方、日本の調査では増額・維持の回答が目立ちます。 調査対象が違うため単純比較はできませんが、少なくとも米国の結果を日本の状況として語ることはできません。
なお対売上比の日本の数字は、今回見つけられませんでした。 「日本企業のマーケ予算は売上の◯%」と書いてある記事を見かけたら、出典が米国調査でないか確認してください。
④ 「60:40ルール」は、固定の法則ではない
60:40という同じ言葉でも、根拠と対象が異なる数字が使われています。
| 出典 | 数字 | 何の集計か |
|---|---|---|
| IPA(2026年の資料) | ブランド構築60%強/アクティベーション40%弱 | 出所は『Effectiveness in Context』(IPA, 2018)。1998〜2016年の営利事例615件 |
| BtoB向けの報告書 | 同一報告書内に 50/50・46:54・45:55 が併存 | BtoBに絞った分析。著者自身が標本50件未満・暫定的と明記 |
ここは、私が最初に間違えたところです。 IPAのページ要約には「40年分のケーススタディから」とあり、私もそう書いていました。ところがPDFを開くと、基礎データは2018年の報告書を基にした615件・1998〜2016年でした。「40年」は、同じPDFに載った広告コピーの表現です。
さらに、同じ2ページのPDFの中で、本文と広告コピーの役割が違います。
本文はこうです。
This split varied in specific contexts. The analysis therefore advised marketers to adapt any guideline ratios to their own circumstances.
(この配分は状況によって変わった。したがって分析では、目安の比率を自社の状況に合わせて調整するよう勧めている)
資料では、金融サービスではブランド構築の比重が高くなる例が図示されています。また、カテゴリの成熟度や成長率によっても、最適な配分は変わるとされています。
一方、同じPDFに載っている広告コピーはこうです。
The '60:40 Rule' is a proven mix
(「60:40ルール」は実証されたミックスである)
発行元は同じでも、用途は同じではありません。 分析本文は「文脈に合わせて調整する」と述べ、広告コピーは「実証されたミックス」と表現しています。60:40を紹介するなら、万能の法則ではなく、判断の出発点となる目安と書くのが適切です。
なおIPAは2026年1月に、信頼を大きく高めた営利キャンペーン103件(1998〜2024年の812件から抽出)のうち、93%が非常に大きな事業効果を報告したとも発表しています。全体平均は66%でした。
ただし、これはEffectiveness Awardsへの応募作品という自己選択標本です。信頼の向上と事業効果の因果関係を示すものではなく、「信頼を高めれば93%成功する」という意味ではありません。
数字を使う前に、3つだけ確認する
ここまでの食い違いには、共通点があります。数字そのものではなく、引用を重ねるうちに比較の条件が抜け落ちています。
提案書や記事に入れる前に、次の3つを確認してください。
1. 何と比べた数字か。 58%は予測値との差でした。34.5%は別グループとの差でした。「◯%減」を見たら、必ず何と比べた数字かを探してください。書かれていなければ、その数字だけで判断しないほうが安全です。
2. 誰を調べた数字か。 米国308社の平均予算比率、売上10億ドル超の企業の平均、20〜69歳のネットパネル。いずれも、日本の中小企業そのものを対象にした調査ではありません。 使えないという意味ではなく、「参考値です」と条件を書き添えれば足ります。
3. 一次情報まで戻ったか。 同じ一次ソースをもとにした記事は、媒体が違っても裏付けが増えるわけではありません。「複数のメディアが報じている」ことは、原典を確認したことと同じではありません。この記事自身も例外ではありません。
確認対象は44件でしたが、原文を丸ごと読めたのは4件、取得ツールの抽出まで確認したものが31件、読み切れていないものが9件です。原文を読めた4件から、私自身の誤りが2つ見つかりました。出典の数は、確かさの代わりになりません。
では、2026年の施策判断をどう変えるか
最後に、確認できた事実から言えることだけを書きます。
AI検索だけのための特別な小技を増やすより、検索エンジンに正しく登録され、読者にとって独自性のある内容を整えるほうが先です。 llms.txtやチャンク化は必須ではありません。やることが完全に変わった、という話ではありません。
クリックが減っている背景は、AI Overviewsだけではありません。 AI Overviewsが出ないキーワードでも同期間に半分近く落ちています。検索流入だけを前提にした計画は、AI対策の有無にかかわらず見直す候補になります。
日本のネット広告費では、動画とソーシャルの存在感が増しています。 媒体費では動画が初めて1兆円を超え、ソーシャルの構成比は39.5%でした。
AIの導入と成果は、まだ同じペースでは進んでいません。 BtoBでは95%がAI搭載アプリを使う一方、コンテンツの成果が改善したという回答は39%でした。効率化と事業成果は、別の指標として追う必要があります。
最後に、いちばん実務的なお願いです。この記事の数字も、提案書へ入れる前に引用元のリンクを開いて確認してください。 下の出典一覧には、目視確認できたもの、抽出結果までのもの、まだ断定に使っていないものを分けて記載しています。
よくある質問
Q. 数字が割れているなら、どれを提案書に載せればいいのですか?
A. 1つを選ばず、割れていること自体を書きます。
「AI Overviewsによるクリック減は、調査によって34.5%・58%・47%と幅があります。比較対象が予測値なのか別グループなのかで変わるためです」。この書き方なら、どれか1つを選んで外すリスクがなくなります。
選ばなければならない場面は、実は多くありません。予算を動かす判断に必要なのは、たいてい「桁」と「向き」だけです。クリックが減っているのか増えているのか、それが数%なのか数十%なのか。ここまで分かれば判断できることは多く、小数点以下の精度が要る場面のほうが例外です。
どうしても1つ挙げる必要があるときは、調査条件が自社にいちばん近いものを選び、その条件を併記します。数字の大小で選ばないでください。
Q. 「複数のメディアが報じている」のは、裏付けにならないのですか?
A. なりません。 同じ一次ソースを引いた記事が10本あっても、確認できたことは1件のままです。
見分け方は簡単です。その記事が引いている出典を開いて、同じ場所に着くかを見ます。 3本の記事が同じ調査レポートに着くなら、それは1件です。別々の調査に着くなら、初めて2件、3件と数えられます。
この記事でも、44件のうち原文を丸ごと読めたのは4件でした。そしてその4件を読んだことで、自分の記述の誤りが2つ見つかっています。 件数を増やすより、1件を原文で読むほうが精度が上がります。
Q. 海外の調査しか見つからないテーマは、どう扱えばいいですか?
A. 使えますが、置き換えずに並べます。
やってはいけないのは、海外の数字を日本の数字として書くことです。やってよいのは、「海外ではこの数字、日本では未確認」と並べることです。空欄があることが分かれば、それ自体が判断材料になります。
そのうえで、日本の数字が要るかどうかを先に考えます。 世界的な技術の普及の向きを知りたいだけなら、海外調査で足ります。予算規模や商習慣に関わる判断なら、日本のデータがないと危険です。
「日本のデータが見つからない」と「日本には当てはまらない」は別です。前者は調査の限界、後者は事実の主張で、後者を言うには根拠が要ります。
Q. この記事の数字は、いつまで使えますか?
A. 項目によって寿命が違います。
- 年次の広告費や予算比率:次の年次発表が出た時点で古くなります。1年で入れ替わる前提で使ってください
- AI検索によるクリック変化:検索結果の仕様が変われば、測定条件ごと変わります。いつまで有効かは、この記事では判断できません
- 調査条件の違いで数字が割れるという構造:これは特定の年の話ではないため、当面変わりません
使う前に確認するのは、数字ではなく発表日です。 発表日が1年以上前なら、後継の調査が出ていないかを1回検索してください。
Q. ここまで確認する時間が取れない場合は、どうすればいいですか?
A. 確認しないなら、数字を判断の根拠にしないでください。 これが唯一の答えです。
そのうえで、時間がないときの現実的な線引きがあります。
- 社内の検討メモ:確認せずに使ってよい。ただし「未確認」と書き添える
- 人に配る資料・記事・提案書:引用する数字の数を減らして、確認できたものだけにする。10個の未確認の数字より、1個の確認済みの数字のほうが強い
- 予算や契約が動く場面:確認が終わるまで、その数字を出さない
数字を減らす判断は、手抜きではありません。 この記事の4つの食い違いは、すべて「確認せずに引用が重なった」ことで生まれています。
まとめ:数字が割れていること自体を、材料として扱う
- 同じ現象に複数の数字が並ぶのは、調査の条件が違うから。 比較対象・調査対象・時期が抜け落ちたまま引用が重なると、食い違いだけが残る
- 使う前に3つ確認する——何と比べた数字か、誰を調べた数字か、一次情報まで戻ったか
- 「複数のメディアが報じている」は裏付けにならない。 同じ一次ソースに着くなら、それは1件
- 割れているときは、1つを選ばず割れていることを書く。 判断に必要なのは、多くの場合「桁」と「向き」まで
- 海外の数字は置き換えずに並べる。 「日本のデータが見つからない」と「日本には当てはまらない」は別
- 確認する時間がないなら、数字を判断の根拠にしない。 人に配る資料では、確認できたものだけに絞る
出典一覧
以下は、2026年8月27日時点の主な出典と確認状況です。確認対象44件のうち、本文で参照したものに加え、本文では断定の根拠にしていない関連資料も掲載しています。確認の到達段階は3つに分けました。
- 目視確認:原文のPDFや生データを丸ごと取得して読んだもの。44件中4件(Googleの生成AI最適化ガイド、CMO Survey原典68頁、総務省白書概要19頁、IPA原典2頁)。
- ツール抽出:取得ツールがページ本文から抜き出した結果を受け取ったもの。私が全文を目視したわけではありません。
- 一部のみ/未読:この記事では断定の根拠にしていません。
| # | 出典 | 発行・更新 | 確認状況 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2025年 日本の広告費(電通) | 2026-03-05 | ツール抽出 |
| 2 | 2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析(電通) | 2026-03-05 | ツール抽出 |
| 3 | 同リリース(電通デジタル) | 2026-03-05 | ツール抽出 |
| 4 | Optimizing your website for generative AI features on Google Search(Google) | 2026-05-15公開/最終更新 2026-07-10 | 目視確認(原文を丸ごと取得) |
| 5 | AI Features and Your Website(Google) | 最終更新 2025-12-10 | ツール抽出 |
| 6 | Google's New AI Search Guide Calls AEO And GEO 'Still SEO'(Search Engine Journal) | 2026-05-15 | ツール抽出 |
| 7 | AI Overviews Reduce Clicks By 34.5%(Ahrefs) | 2025-04-17 | ツール抽出 |
| 8 | AI Overviews Cut Clicks 58%. What That Number Actually Measures(W2B Agency) | 2026-08-12 | ツール抽出(Ahrefs 2026年版の再検証) |
| 9 | Google AI Overviews decrease CTRs by 34.5%(eMarketer) | 2025-04-18 | ツール抽出 |
| 10 | Google users are less likely to click on links when an AI summary appears(Pew Research Center) | 2025-07-22 | ツール抽出 |
| 11 | Google zero-click searches reach 68% in early 2026(Search Engine Land/SparkToro調査) | 2026-06-09 | ツール抽出 |
| 12 | B2B Content and Marketing Trends: Insights for 2026(Content Marketing Institute) | 2025-10-08 | ツール抽出 |
| 13 | B2B content marketing in 2026(MarketScale) | 2026-07-16 | ツール抽出 |
| 14 | CMOs Face Headwinds Even as Marketing Value and AI Impact Grow(Duke Fuqua/The CMO Survey) | 2026-03-31 | ツール抽出 |
| 15 | The CMO Survey Topline Report 2026(原典PDF・全68頁) | 2026-03 | 目視確認(全68頁を抽出して読了) |
| 16 | Gartner CMO Spend Survey の報道(Chief Marketer) | 2026-06-24 | ツール抽出 |
| 17 | 2026年2月 生成AIサービス利用動向に関する調査(ICT総研) | 2026-02-20 | ツール抽出 |
| 18 | NRC デイリートラッキング 生成AIについて(日本リサーチセンター) | 2026-04-10 | ツール抽出 |
| 19 | Next steps for Privacy Sandbox and tracking protections in Chrome(Google) | 2025-04-22 | ツール抽出 |
| 20 | Internet Advertising Revenue Report FY2025(IAB) | 2026-04-16 | 一部のみ(総額だけ・内訳はログイン必須) |
| 21 | 令和8年改正個人情報保護法(BUSINESS LAWYERS) | 2026年 | ツール抽出(弁護士解説・一次資料は未確認) |
| 22 | 2024年のEC市場は26兆円(futureshop) | 2025-08-26以降 | ツール抽出(経産省原典は未読) |
| 23 | 令和8年版 情報通信白書(概要)(総務省・全19頁) | 2026-07 | 目視確認(全19頁を抽出して読了) |
| 24 | AI利用の現状(同上) | 2026-07 | 一部のみ(同上) |
| 25 | Trust-building advertising delivers stronger business growth(IPA・英国) | 2026-01-27 | ツール抽出 |
| 26 | Striking the right balance for your brand(IPA・英国/原典PDF・全2頁) | 2026 | 目視確認(全2頁を抽出して読了) |
| 27 | UK Advertising Spend(Advertising Association/WARC・英国) | 2026-01-29更新 | ツール抽出(チャネル別内訳は有料購読の先) |
| 28 | 令和8年 改正個人情報保護法について(個人情報保護委員会) | 2026-07-17公布 | ツール抽出(概要PDFは未取得) |
| 29 | AI Overviewsでクリック率が62.7%減【Ahrefs調べ】(Web担当者Forum) | 2026-07-29 | ツール抽出(Ahrefs原文は未読) |
| 30 | Ahrefs調査、日本で約38%低下・グローバルでは約58%減少 | 2026-02-27 | ツール抽出(同上) |
| 31 | 日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026(HubSpot Japan) | 2026-07-16 | ツール抽出 |
| 32 | 生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)(帝国データバンク) | 2026-05-14 | ツール抽出 |
| 33 | 2026年 BtoBマーケティング調査(ProFuture) | 2026-03-04 | ツール抽出 |
| 34 | 2026年のマーケ予算【Macbee Planet調べ】(Web担当者Forum) | 2026-02-12 | ツール抽出(発表元リリースは未読) |
| 35 | BtoBマーケティングにおける生成AI活用の実態と提言(才流) | 2026-06-02 | ツール抽出(調査実施は2025-08) |
| — | Gartner 2026 CMO Spend Survey 公式リリース | 2026-05-11 | 未読(HTTP 403) |
| — | 令和6年度 電子商取引に関する市場調査(経済産業省) | 2025-08-26 | 未読(HTTP 403) |
| — | Ahrefs 2026年2月公表分の原文 | 2026-02 | 未読(報道側もHTTP 403) |
| — | 2026 State of Marketing Report(HubSpot) | 記載なし | 一部のみ(本編は要登録) |
| — | State of Marketing 2026(Salesforce) | 2026 | 未読(HTTP 403) |
執筆者
Web Director for SEO & Content。調査した国・時期・対象を分け、数字の使い方を考えます。