ネット記事の引用ルールを調べると、「転載禁止と書かれたページは引用できない」とする解説と、そうは書かない解説の両方が見つかります。大学レポートの参考文献の書き方と、ブログで引用するときのルールも同じ検索結果に並ぶため、外注記事の公開前に出典を確認するとき、どちらを基準にすればよいか迷います。
ブログやオウンドメディアでネット記事を引用するときは、引用の条件と出所の示し方をそれぞれ確認します。この記事では、著作権法の条文と文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」をもとに、公開前に使える出典の例文まで紹介します。
結論:4つの条件に当てはめてから引用し、出典は記事の中で1つの順番にそろえる
ブログ・オウンドメディアでネット記事を使うときに見るのは、引用の4つの条件と、出典の書き方の2点です。この記事はブログ・オウンドメディアなど、ネット記事を書く人と、外注した記事を公開前に見直す人に向けています。大学のレポートや論文の参考文献を書く場合は、所属先や学会が指定する書式を優先してください(大学レポートとの違いは、後の節で場面を分けています)。
文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」の説明をまとめると、確認するのは次の4点です。
- 公表されている:権利者などによって公表された著作物か
- 公正な慣行:引用する必要があり、引用部分を自分の文章と区別できるか
- 正当な範囲内:目的に対して分量が必要な範囲に収まり、自分の文章が主になっているか
- 出所の明示:利用の態様に応じて出所を示しているか
(出典:文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」 p.75)
出典の書き方は、この記事では「記事タイトル|媒体名、URL、著者名・公開日(表示がある場合)、閲覧日(内容が更新されうる場合)」の順を勧めます。この順番は記事制作上の例です。著者名が表示されている場合は、第48条第2項にも注意します。短い完成例は次のとおりです(記事タイトル・媒体名・URLは架空です)。
記事Aは「調査では、対象を地域別に分けて結果を公表しています」と述べています(出典:『オンライン調査記事A』|架空の情報メディア、https://example.com/article、2026年10月10日閲覧)。
出所を書けば許諾が不要になるわけではありません。詳しくは「出所の明示だけでは許諾の代わりにならない」の節で説明します。
引用とは、自分の説明に他人の著作物を取り込むこと(転載・参考・参照との違い)
引用とは、報道・批評・研究などの目的で、他人の著作物を自分の文章の中に取り込んで利用することで、著作権法第32条第1項が許諾を得ずに利用できる場合として定めています。似た言葉との使い分けは次のとおりです。
| 用語 | 記事での使い方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 引用 | 他人の文章や数字を、自分の説明の材料として本文に取り込む | 4つの条件を満たしているか |
| 転載 | 他人の文章や画像を、ほぼそのまま自分のページに載せることを指して使われる言葉 | 呼び方ではなく、使い方が引用の条件に合うか。合わなければ許諾が要るか |
| 参考 | 読んだ資料をもとに、自分の言葉で書く | 元の言い回しや構成をそのまま残していないか |
| 参照 | 詳しい説明の置き場所として、資料を示す | 読者が元の資料をたどれる形で示しているか |
転載・参考・参照は、日常や編集の場面での呼び分けです。どの呼び方をしたかで許諾の要否が決まるわけではないので、実際にどう使っているかを、次の節の4つの条件に照らして見ます。
記事を書く手順の全体の中で、引用や数字を見直す場所を知りたい場合は、記事の書き方|初心者が最初の1本を書き上げる6つの手順の「公開する前に確かめること:数字・引用・コピペ・AI」の節が手順の流れごとにまとまっています。
文化庁資料で確認する引用の4条件

図の4枚のカードは、左上の書類の束が「公表された著作物」、左下の吹き出しが「公正な慣行」、右上の天びんが「正当な範囲内」、右下の本とリンクの絵が「出所の明示」(どの資料から取ったかを示すこと)を表し、4つとも中央の引用につながっています。
文化庁のテキストの説明に沿って、4つの条件に1つずつ当てはめます。裁判所がどう判断してきたか(判例)は、この記事では扱っていません。もとになる条文は次のとおりです。
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第32条第1項、2026年10月9日閲覧)
条文そのものには「4つ」「5つ」といった番号は付いていません。文化庁のテキストは、第32条第1項の引用について、条件を4つに分けて説明しています。条件ごとに、自分の記事に当てはめる問いを添えます。
- 公表されている:引用するページは、権利を持つ人か、その許諾を得た人が公開した物か。単に閲覧できるだけで公表されたとは判断しません(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第4条、2026年10月9日閲覧)。会員限定や有料の記事は「新聞社・通信社のネット記事と有料記事」の節で扱います。
- 公正な慣行:文化庁のテキストは、引用する「必然性」があることや、カギ括弧などで引用部分がはっきり分かれていることを例に挙げています。その文章が無いと自分の説明が成り立たないか、どこからどこまでが引用か読者に分かるかを見ます。
- 正当な範囲内:例として、自分の文章が主で引用が従という「主従関係」がはっきりしていること、引用する分量が必要最小限度であることが挙がっています。引用を抜いても記事の中心が残るかを見ます。
- 出所の明示:誰のどの著作物かが、読者に分かるように示されているかを見ます。
(出典:文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.75)
出典を置く場所は、この記事では引用のすぐ後を勧めます。
解説によっては、必然性・引用部分の区別・主従関係・必要最小限度などを別々の項目に分け、「5つの要件」と数えることがあります。条件の中身が増えたわけではなく、説明の分け方の違いです。また、HTMLの引用タグで囲んだことや、引用の文字数が少ないことだけで、条件を満たしたことにはなりません。
「2〜3割まで」は条文にない:引用量は目的と必要な範囲で考える
引用の量を割合で決める根拠は、条文にも文化庁のテキストにもありません。convia は2026年10月9日に、Googleの日本とアメリカの検索結果(日本語の「ネット 記事 引用」で検索)の上位20件ずつを集め、重なりを除いた26ページのうち、本文を取得できた25ページを読みました(1ページは、サイトが機械での取得を断っていた〈robots.txt〉ため取得していません)。そのうち2ページが「2〜3割」「1割〜2割程度」という目安を書いていましたが、どちらにも根拠の資料は示されていませんでした。法律上の割合や文字数の基準は無いと明記したページを数えると、少なくとも3本ありました。うち1本は、同じページで「2〜3割」の目安も示しています。
条文は「目的上正当な範囲内」と定め、文化庁のテキストは主従関係と必要最小限度を例に挙げています。割合で線を引くのではなく、その引用が無いと自分の説明が成り立たないかで、量を決めます。
出回っている数字の目安を、公式の資料と見比べて確かめる考え方は、タイトルSEOの「32文字」は本当?公式の基準で決める付け方でも扱っています。引用の量とは別の話題ですが、根拠の示されていない数字を扱う例として読めます。
出典に書く順番は法律に無い。著者名は表示があれば示す(第48条)
出所の明示とは、誰のどの著作物を使っているかを読者に分かるようにすることで、著作権法第48条が求めています。第48条第1項は、利用の態様に応じて合理的な方法と程度で出所を示すよう求めます。ネット記事用の一律の順番は示していません。
(前略)当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第48条第1項、2026年10月9日閲覧)
ただし第48条第2項は、ページに著者名が表示されていれば、その著者名を示すよう求めています(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第48条第2項、2026年10月9日閲覧)。文化庁のテキストは、出所の明示の中身として、著作物の題号、著作者名、出版者名などを挙げています(出典:文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.77)。この記事では、法律や文化庁の説明の中の言葉を「出所」、記事の中に書く情報を「出典」と呼び分けます。次の節の並び順は、この題号・著作者名・出版者名をネット記事に置き換えた、記事を作るうえでの勧めで、法律が定めた書式ではありません。
ネット記事の出典に使える項目と並び順
ネット記事の出典は、次の6つの項目を、上から順に書くと読者が元の記事をたどりやすくなります。表の並び順は、この記事が勧める編集上の型です。著者名については第48条第2項も確認してください。
| 項目 | この記事で勧める入れ方 | 理由 |
|---|---|---|
| 記事タイトル | 毎回入れる。ページに出ている題名をそのまま写す | 文化庁のテキストが挙げる「題号」に当たる |
| 媒体名(サイト名) | 毎回入れる | 誰が出したページかが分かり、「出版者名」に当たる |
| URL | 毎回入れる | 読者がその場で元の記事を開ける |
| 著者名 | ページに表示があれば入れる | 第48条第2項は、表示されている著作者名を示すよう求める |
| 公開日・更新日 | 表示があれば、ページの言葉のまま入れる(「公開日」「最終更新日」) | いつの情報かが分かる |
| 閲覧日 | 内容が更新されうるページでは入れる | 読んだときと内容が変わっても、いつの内容を使ったかが分かる |
著者名や日付がページに見当たらない場合は、推測して埋めず、その項目を書かずに済ませます。ネット記事の出典の書き方をチームでそろえるときは、この表の項目と順番を1つの型として決めておくと、記事ごとのばらつきが減ります。
短い引用・長い引用・要約を紹介するときの出典例
以下の例の記事タイトル・媒体名・URL・著者名はすべて架空です。自分の記事では各項目を引用元の表示に置き換えてください。
- 短い引用:カギ括弧で自分の文と分け、直後に出典を置きます。
記事Bは「地域によって回答の傾向が異なる」と述べています(出典:『調査記事B』|架空ニュース、https://example.com/b、2026年10月10日閲覧)。 - 長い引用:引用ブロックなどで本文と分け、すぐ下に出典を置きます。ブロックで囲むのは区別を見せる手段で、それだけで4つの条件を満たすわけではありません。完成例では、架空の記事Kの記述を次のように使います。
調査は三つの地域で実施しました。回答者には同じ質問を示し、地域ごとの回答を集計しました。
(出典:『地域調査記事K』|架空の調査メディア、https://example.com/k、著者:架空 花子、公開日:2026年9月1日、2026年10月10日閲覧)
引用文、記事タイトル、媒体名、URL、表示された著者名・日付を、実際に確認した内容に置き換えてください。 - 数字を引用する:数字の直後に、何の数字か(誰が・いつ・何を数えたか)と出典を書きます。
架空の団体Cの調査では、回答者の42%が「週に1回以上利用する」と答えています(出典:『利用実態調査2026』|架空の団体C、https://example.com/c、著者:架空 太郎、公開日:2026年9月1日、2026年10月10日閲覧)。 - 著者名・日付が無い記事:分かる項目だけで書き、空いた項目を推測で埋めません。
(出典:『用語解説D』|架空の解説サイト、https://example.com/d、2026年10月10日閲覧) - 要約して紹介する:自分の言葉で要点を書き、参照した記事を示します。
記事Eによると、調査の対象は国内の事業者に限られています(参照:『調査記事E』|架空の業界メディア、https://example.com/e、2026年10月10日閲覧)。要約が法律上どう扱われるかは、「要約して紹介するのは「引用」に当たる?」の節で説明します。
出所の明示だけでは許諾の代わりにならない
出典を書いただけで許諾が不要になるわけではありません。文化庁のテキストは、この点を次のように説明しています。
「出所の明示」をすれば著作権者の了解を得なくてもよいという誤解がありますが、それは逆で、著作権者の了解を得なくてもよい場合でも「出所の明示」の義務が課されるものであり、「出所の明示」をしても法律上の要件を満たさない場合には了解が必要です。
(出典:文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.77)
出所の明示は4つの条件のうちの1つです。出典を書いたうえで、ほかの条件にも当てはめて確認します。罰則については「引用の条件を満たさない場合は、差止め・損害賠償の請求や罰則の対象になりうる」の節でまとめます。
ブログ記事は著作権法と規約、大学レポートは指定の書式を先に見る
同じ「引用」でも、ブログ記事と大学のレポート・論文では、最初に従う決まりが違います。2026年10月9日に読んだ「ネット 記事 引用」の上位25ページにも、大学図書館の参考文献の案内が4本あり、ブログ向けの解説と並んでいたため、まず自分の場面を分けます。
| 場面 | 優先して確認するもの | 出典の置き場所の例 | 閲覧日 |
|---|---|---|---|
| ブログ・オウンドメディアなどのネット記事 | 著作権法の条件、引用元の媒体の利用規約、記事の中での読みやすさ | 引用のすぐ後や、画像のすぐ下 | 内容が更新されうるページでは入れることを勧める |
| 大学のレポート・論文 | 所属先・学会・担当教員が指定する書式 | 指定書式に従う(文中の注と、末尾の参考文献の一覧など) | 指定書式に従う |
大学のレポートや論文では、APAやSISTなどの書式が指定されることがあります。書式ごとの細かな書き方はこの記事では扱いません。なお、SISTを案内していた科学技術振興機構(JST)のページは、2026年10月9日に開いたときには国立国会図書館が保存した版へ転送されました。今使う版は、所属先の図書館の案内で見てください。
新聞・SNS・画像・外国語記事は、規約と別の権利も読む
新聞社の記事、SNSの投稿、画像、外国語の記事は、4つの条件に加えて、媒体の利用規約と、写真などに別の権利がないかを確かめる必要があります。素材ごとに、条文で言えることと、規約を読んで判断することを分けて書きます。
新聞社・通信社のネット記事と有料記事
- 著作権法は、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に当たらないと定めています(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第10条第2項、2026年10月9日閲覧。文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.6にも同じ説明があります)。
- 一方で、記者の解説や論評が入った記事は、著作物として扱う前提で引用の条件を確認します。どこまでが事実の伝達だけかを自分で線引きしにくいときは、著作物として扱うほうに寄せます。
- 新聞社・通信社は、自社の記事の使い方を利用規約で決めていることがあります。引用する前に、その社の利用規約を開いて読みます。
- 有料記事や会員限定の記事は、「公表された著作物」に当たるかどうかと、規約で何を禁じているかを読む必要があります。この記事では、引用できる・できないの結論は出しません。
X(旧Twitter)などSNSの投稿
- 投稿の文章を引用するときも、ほかの文章と同じく4つの条件に当てはめます。
- 出典は、記事タイトルの代わりに投稿者名とアカウント名を置き、ほかの例と同じ順番でそろえることを勧めます。
例:(出典:架空の投稿者F〈@example_f〉|X、https://example.com/f、投稿日:2026年10月1日、2026年10月10日閲覧。すべて架空) - SNSには、投稿をそのまま記事に表示する埋め込みの機能を用意しているサービスもあります。使える条件はサービスごとに違うため、そのサービスのヘルプと規約を読みます。
- 投稿の画面を撮ったスクリーンショットは、文章ではなく画像として扱います。注意点は次の「画像・図表・グラフ」の節で説明します。
画像・図表・グラフ
- 文化庁のテキストは、美術作品や写真のような場合は、その全部を引用して利用することも考えられる、としています。一方で、美術の著作物を実質的に鑑賞するために使う場合は引用に当たらない、と説明しています(出典:文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.75)。
- 文化庁のテキストは、自分の著作物に登場する必然性のない他人の著作物の利用も、引用には当たらないと説明しています(同 p.75)。見栄えのためだけに他人の写真やイラストを載せる使い方は、この説明に当てはめて見直します。
- 図表やグラフは、画像を使わずに、元の数字を確かめて自分で表やグラフを作り直し、出典を示す方法もあります。
- 画像の出典は、画像のすぐ下に置くと、どの画像の出典かが読者に分かります。
例:出典:『調査記事G』|架空の調査メディア、https://example.com/g、2026年10月10日閲覧(架空)
外国語の記事を訳して引用するとき
- 文化庁のテキストは、引用の説明の中で「翻訳も可」としています(出典:文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.75)。
- 訳した文の後に、原文の題名と出典を示し、訳が自分の訳であることを添えます。
例:「調査に答えた人の半数が、価格を最も重視していた。」(日本語訳は引用者による。出典:『Example Survey Report H』|Example Media、https://example.com/h、2026年10月10日閲覧。すべて架空) - 機械翻訳の結果をそのまま使わず、原文と見比べて、意味がずれていないかを見ます。
転載禁止の表示・要約・リンクで迷ったときに確認すること

図は上から「転載禁止の表示」「要約」「リンク・埋め込み」を表し、左の濃い青の枠が条文で言えること、右の灰色の枠が専門家に確かめることです。中身を文字にすると、次のとおりです。
| 迷う場面 | 条文で言えること | 専門家に確かめること |
|---|---|---|
| 転載禁止の表示 | 第32条の引用と資料転載は別の項に定められている | 個別ページの表示・規約と利用方法の関係 |
| 要約 | 第32条は著作物を引用して利用する場合を定める | 元の表現や構成を残した要約の扱い |
| リンク・埋め込み | 第113条第2項は、侵害コンテンツへことさらに誘導するサイトなどでのリンクの提供を扱う | 個々の埋め込み方法と媒体の規約 |
この3つは、解説によって言うことが分かれている点です。2026年10月9日に読んだ上位の25ページ(調べ方は、引用の量を扱った節と同じ)では、転載禁止の表示があるページからは引用できないとする趣旨のページが4本ありました。要約について、書き手の考えとしてはっきりそう書いたページを数えると、引用の条件を満たさない・侵害になる可能性が高いとする趣旨が2本、問題ないとする趣旨が1本でした(要約を載せたサイトに侵害を認めた判決を紹介したページは、この数に入れていません)。要約を普通の引用のしかたとして教えるページ(大学図書館の案内など)もありました。以下の3つの節では、条文で言えることと、この記事では言い切らずに専門家に確かめることを分けて書きます。
「転載禁止」「無断引用禁止」と書かれたページは引用できない?条文だけでは決まらない
第32条の中で言えるのは、「禁止する旨の表示」についての規定が、第1項の引用ではなく、第2項の国等の資料の転載に置かれていることです。なお第39条第1項は、新聞・雑誌の時事の論説を転載する場合について、禁止の表示があれば転載できないと定めています(引用とは別の規定。出典:e-Gov法令検索「著作権法」第39条第1項、2026年10月9日閲覧)。
国等の周知目的資料は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第32条第2項、2026年10月9日閲覧)
第1項の引用の規定には、禁止の表示についての文言がありません。ただし、この条文の違いだけで、個々のページを引用できるかどうかは決まりません。迷ったときは、次の順で進めます。
- ページの表示と利用規約を読み、何を禁じているかを書き出す
- 条件がはっきりしなければ、運営者に問い合わせる
- それでも法的な判断が残る場合は、専門家に相談する
判断がつくまでの代わりに、文章をそのまま使わず、自分の言葉で要点を書いて参照として示す方法もあります。
判断がつくまでは、その部分の公開を保留し、「公開前は5項目のチェック表で見直し、社内ルールは4つの見出しで作る」の節の表で見直します。
要約して紹介するのは「引用」に当たる?言い回しの残り方で、自分で判断できる範囲が変わる
第32条第1項が定めているのは、他人の著作物を「引用して利用する」場合です。自分の言葉で要点を書き直して紹介する書き方は、元の文章をそのまま取り込む引用とは、使い方そのものが違います。
一方で、元の文章の言い回しや構成をほとんど残した「要約」は、文章をそのまま使ったのと同じように見られる可能性があります。どこまで書き直せば元の文章を使ったことにならないかの基準は、条文にも、文化庁のテキストの引用の説明(p.75)にも書かれていません。この線引きは、専門家に確かめる側に置きます。迷うときは、元の文章を見ずに要点を書き直し、数字は原典から取り直します。
どちらの場合も、要約で紹介した記事は出典として示します。読者が元の記事をたどれるようにするためです。
リンクを貼るだけ・埋め込むだけなら?条文が特に定めるのは一部の場合だけ
著作権法がリンクについて特に定めているのは、著作権などを侵害して公開された著作物へのリンクの一部です。第113条第2項は、公衆を侵害コンテンツへことさらに誘導するサイトや、主に侵害コンテンツの利用のために使われるサイト・プログラムで、そうしたリンクを提供する行為を、侵害コンテンツだと知っていた場合や、知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合に、著作権などを侵害する行為とみなすと定めています(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第113条第2項、2026年10月9日閲覧)。文化庁のテキストは、こうしたサイトを「リーチサイト」「リーチアプリ」と呼んで説明しています(文化庁「著作権テキスト -令和8年度版-」p.102)。
それ以外のリンクや埋め込みの扱いは、条文が特に定めていません。埋め込みはサービスの規約で条件が決まっていることもあるため、規約を読み、判断が残れば専門家に相談します。
リンクを貼っただけで出典を書いたことにはせず、自分の説明に使った部分は、出典として項目をそろえて示します。
書き換え・孫引きなど、引用で避けたい5つのこと
公開前に避けたいのは、引用文の書き換え、孫引きを原典のように見せること、根拠を見ていない数字の転記、記録の不足、生成AIの回答を出典にすることの5つです。
- 1. 引用文を都合よく書き換える:引用した文は元の言葉のまま写します。途中を省くときは「(中略)」のように、省いたことが分かる形にします。
- 2. 孫引きを原典のように見せる:ほかの記事が引いていた文や数字を、元の資料を読んだかのように書きません。できるだけ原典を開いて読み、読めなければ「よくある質問」の書き方で示します。
- 3. 確かめていない数字や主張を、事実として書く:誰が・いつ・何を根拠に書いたかを見てから使います。著者や公開日が分からない記事の数字は、ほかの資料で裏付けが取れるまで、事実の根拠にしません。
- 4. 記録を残さない:引用元のページは、更新されたり消えたりすることがあります。URLと閲覧日、使った部分の写しを記録に残し、あとから何を見て書いたかを示せるようにします。
- 5. 生成AIの回答を出典にする:AIの回答そのものを事実の出典にせず、回答が挙げた資料を自分で開いて読み、その資料を出典にします。
原典を開いて読むと、広く流通している説明とずれていることがあります。convia が実際に原典までさかのぼった例として、よく引用されるマーケティングの通説は、原典と5つの点で食い違っていたと、Dropboxの紹介プログラム。創業者資料で確認できる数字があります。引用する前に原典を読むと何が変わるかを、具体的な数字で読めます。
引用の条件を満たさない場合は、差止め・損害賠償の請求や罰則の対象になりうる
引用の条件を満たさないまま他人の著作物を使うと、著作権の侵害として、権利者から請求を受けたり、罰則の対象になったりすることがあります。個々の記事が侵害に当たるかどうかは具体的な事情によるため、ここでは関係する条文を並べます。
- 差止め:第112条は、権利者が、侵害する者や侵害するおそれがある者に、侵害の停止や予防を請求できると定めています。
- 損害賠償:第114条は、権利者が損害賠償を請求する場合の、損害の額の計算のしかたを定めています。
- 刑事罰:第119条第1項は、著作権を侵害した者を「十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金」に処し、または両方を科すと定めています。罰則を「懲役」と書いた解説もありますが、2026年10月9日に e-Gov で読んだ条文の言葉は「拘禁刑」です。古い解説の言葉をそのまま写さないようにします。
- 出所を明示しなかった場合:第122条は、第48条(出所の明示)に違反した者を「五十万円以下の罰金」に処すと定めています。文化庁のテキストも、出所の明示の義務に違反した場合には罰則が適用されると説明しています(p.77)。
(出典:e-Gov法令検索「著作権法」第112条・第114条・第119条・第122条、2026年10月9日閲覧)
この記事は、条文と文化庁のテキストで読んで確かめた範囲をまとめたもので、個々の記事の判断ではありません。判断に迷う引用は、公開前に専門家に相談してください。条文は改正されることがあるため、記事で罰則に触れるときは、公開する日に e-Gov で現行条文を開いて見比べます。
公開前は5項目のチェック表で見直し、社内ルールは4つの見出しで作る
チームで記事を見直すときは、次の5項目をそのまま公開前のチェック表に写して使えます。
- □ ① 引用ごとに、4つの条件(公表されている・公正な慣行・正当な範囲内・出所の明示)に当てはめた
- □ ② 引用した箇所と出典が、1つずつ対応している
- □ ③ 引用した数字や主張は、原典を開いて読んだ
- □ ④ 引用元の利用規約と、写真・図などに別の権利がないかを読んだ
- □ ⑤ 閲覧日と参照したURL、使った部分の写しを記録に残した
社内ルールの雛形を作るときは、次の4つの見出しを立てると、記事ごとのばらつきを減らせます。
- 引用の条件確認:上の5項目のチェック表
- 記事用の出典例:「ネット記事の出典に使える項目と並び順」の節の表と例文
- 情報源ごとの追加確認:新聞社の記事・SNS・画像・外国語の記事で、規約や別の権利を読むこと
- 迷った場合の相談先:運営者への問い合わせ先と、社内で専門家に相談する窓口
チェック表の5項目は、記事を作るうえでの見直し用の例で、そのまま使えます。会社全体の正式なルールにする部分と、例外の扱いは、自社の法務担当や専門家に見てもらってから決めてください。
よくある質問
孫引きの原典が手に入らない場合はどうすればいいですか?
原典を読めないときは、その部分を使わないか、どこから取ったかを正直に示します。たとえば「『原典I』(架空)を引く『解説記事J』(架空)による」のように、実際に読んだ資料を出典に書きます。原典を開いていない数字や文を、原典を読んで書いた事実のように見せることはしません。
まとめ
- 引用の条件は、文化庁のテキストが説明する4つ(公表されている・公正な慣行・正当な範囲内・出所の明示)です。
- 出典の順番は法律で一律に決まっていません。著者名が表示されていれば第48条第2項に従って示します。この記事では「記事タイトル|媒体名、URL、著者名・公開日、閲覧日」の順を勧めています。
- 転載禁止の表示・要約・リンクのように判断が分かれる素材は、表示と規約を読み、分からなければ運営者に問い合わせ、それでも残る判断は専門家に相談します。
- まずは公開前の記事を、チェック表の5項目で見直してください。会社の正式な引用ルールは、法務担当や専門家に見てもらってから整えます。
記事の構成や、数字・引用の確かめ方を整えたいときは、convia にご相談ください。